働き方改革により、労働時間数が問われるようになってきています。 物流企業に限らず、従業員の労働時間を客観的、かつ、正確に把握する必要性に迫られているのです。 労働安全衛生法の改正が行われ、2019年4月1日から、
会社側には客観的、かつ、正確な従業員の労働時間把握が義務化されました。 昔ながらのタイムカードでは
ここ数年で掌紋認証や顔認証などの機能を持った、最新の勤怠データ管理機器をお勤めの会社が導入しているのではないでしょうか。 あれには労働安全衛生法の改正が、大きく関わっているのです。 これらの勤怠管理システムであれば、別人が本人になりすまして、勤怠記録を行うなどのことができなくなります。 とりわけ、1日24時間稼働していることがほとんどの物流企業では、勤怠管理が難しいものです。 2017年1月20日に公表された厚生労働省策定の“労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン”では、勤怠時刻の確認や記録の原則的な方法として、例えば、タイムカードを挙げています。 しかし、責任者のいない早朝や深夜の時間帯を見計らい、トラックドライバー本人とは別の人物がタイムカードの不正な打刻を行うことも可能です。 本人が実際には働いてもいないのに、通常賃金の25%以上の割増をしなければならない時間外労働賃金の請求をしたり、「時間外労働時間合計が960時間/年を超えている」と不正に訴えたりすることも可能です。
物流企業の勤怠管理は煩雑
物流企業に不可欠な人材は、トラックドライバーだけではありません。
配送センターで荷物の仕訳を行う作業員も、必要不可欠な存在であるはずです。 ところが、配送センターの物流量は、同じ日であっても、時間帯によってさまざまである場合がほとんどです。したがって、仕訳作業員たちの仕事量も、時間帯に応じて変化します。そして、それに対応するべく、多くの物流企業では非正規雇用の人材を仕訳作業員として、さまざまな時間帯で使っているのが現実です。 厚労省は上述の全産業向けガイドラインで、使用者みずからの現認確認による出退勤時刻の記録も原則的な方法としてあげています。ただ、頻繁に発生する彼ら1人1人の勤怠記録を手作業で、しかも、ほかの仕事の片手間に、かつ、パーフェクトに行うのには、「無理がある」と言ってもいいでしょう。 彼らの勤務形態にはさまざまあり、その集計作業も非常に煩雑です。 しかし、24年に備えて勤怠管理専用に人を雇うのも、コスト的に難しいのではないでしょうか。
2024年問題をクリアするためのツール
この難しい問題解決にお勧めなのが、最新勤怠管理システムの導入です。 これなら新たに人を雇うより、
コスト的にもはるかに有利です。 また、最新勤怠管理システムの指紋認証や静脈認証などの生体認証なら、代理打刻も不可能でしょう。 中には、物流業に特化した勤怠管理システムもあります。トラックドライバーが、始業時間の打刻を会社の事務所で行うとは限らないでしょう。
スマホからなら、遠隔地でも打刻可能です。その上、
スマホのGPS機能とも連動できるため、不正打刻の心配も必要ありません。 打刻をどこで行ったかの情報が会社側に送信されるため、不正打刻をしようにもできないのです。
デジタコと連携可能なシステムも
1962年に搭載義務化が始まったタコグラフは、車両の稼働状況を記録するための運行記録計器です。この年に搭載が義務化されたのは、トラックなら路線トラック。2015年4月からは、
車両総重量7トン以上、または、最大積載量4トン以上のトラックに対して、搭載が義務化されています。 そのタコグラフも2000年代に入ってからは、デジタル化されたデジタコも日本メーカーから発売されるようになりました。ただ、その普及はいまひとつ進んでいない印象です。 国土交通省が発表した資料によると2012年、デジタコのトラックへの普及率は38%。国土交通省、および、全日本トラック協会が2015年に実施した調査によると
42.2%と若干増えてはいます。 最近の資料でも、タコグラフ搭載車両の半数近くがアナログタコグラフ(アナタコ)であるとしているものも見受けられます。
デジタコ普及率がいまひとつなのは
普及が伸びない最大の理由は、導入コストです。 しかし、デジタコには、速度を超過したときや急ブレーキを踏んだときなどに記録が残ります。さらに進んだ
クラウド型のデジタコなら、リアルタイムで会社側とトラックドライバー側にその危険運転の通知が行われます。 結果、トラックドライバーが安全運転を心がけるようになります。 速度を抑え、アクセル操作も穏やかになることから、
10~20%もの燃費向上が期待できるというデータもあります。 また、メーカーの努力により、デジタコとクラウドサービスがセットで低価格販売されるようにもなってきています。燃費がこれだけ節約できるのであれば、数年後にはデジタコとデジタコ連携可能な勤怠管理システム導入への投資も回収できるのではないでしょうか。 デジタコの普及が進まないのには、高齢化が進むトラックドライバーをはじめ、従業員が最新のデジタル機器を使いこなせるかどうか会社側が不安視している点にもあります。それでも、デジタコ連携可能な勤怠管理システムなら、
デジタコに記録された走行時間や走行距離のデータから労働時間が自動算出されます。 ドライバーに支払う手当てなども、デジタコによって記録されたデータを使い自動で計算されます。同じ作業を人間がする場合には、ヒューマンエラーや不正の入り込む余地が生じる可能性が高くならざるを得ません。
双方の利益
デジタコ連携可能な勤怠管理システムの導入は、会社とトラックドライバーの双方にメリットがあると言うことができます。 例えば、勤怠状況をリアルタイムで照会できます。 36協定で定められた時間外労働時間や今月の拘束時間合計が293時間(改善基準告示による原則的な上限/月)まで、あとどれくらいで到達しそうかといったことを会社側が確認したいとき直ちに確認できるのです。 それらの時間を超過しそうなことが分かれば即座に、会社側は運行の入れ替えを検討できるようになります。つまり、
会社側が社会のルールを犯すことを防ぐことができるのです。 トラックドライバーの時間外労働時間や拘束時間は、日々一定することはありません。その複雑な計算を会社側が毎日正確、かつ、迅速に行い、トラックドライバーに社会のルール内で働いてもらうのはとても難しいことではないでしょうか。最新のシステムがあってこそ、初めて実現できると考えて間違いないでしょう。 また、
“週の労働時間40時間”などの法律にも盛り込まれた数値は、世界中の医学的根拠に基づいた研究結果から総合的に判断されたものです。 たとえその基準数値直前であっても、超過することを防いでもらえるのは、トラックドライバーの立場からしても利点であると言うことができるでしょう。
まとめ
物流業界の2024年問題は、2024年4月1日から生じ始めるのではありません。改善基準告示による規制などで、もうすでに始まっているのです。
最新の勤怠管理システムは、改正労働基準法などの法律だけではなく改善基準告示にも対応し、今日からでも有効に機能してくれます。